彼の作り笑いを、私は笑えるだろうか。
BREATHE IN
監督:ドレイク・ドレマス
出演:ガイ・ピアーズ
フェリシティ・ジョーンズ
エイミー・ライアン
あらすじ
ニューヨーク郊外の緑豊かなウエスチェスター。
音楽教師のキースは、田舎暮らしを謳歌する妻メーガンと、水泳好きの普通の高校生ローレンと3人、平凡ながら、幸せな毎日を送っていた。
しかしながら、キースは、プロのミュージシャンになるという若い頃からの夢を捨てきれないばかりか、はっきりと口には出さないが、満たされない思いを、妻や娘のせいにしていた。
また同様に、メーガンやローレンも、互いの心を深く知ろうとはしなかった。
そんな時、3人の元へ、ロンドンからの留学生ソフィーがやってくる。
明るく気遣いのできる18歳の女の子だが、時折見せる憂鬱感。
ピアニストでもあるソフィーとキースは、互いの孤独を埋め合わせるように、少しずつ距離を縮めていく。
明るく気遣いのできる18歳の女の子だが、時折見せる憂鬱感。
ピアニストでもあるソフィーとキースは、互いの孤独を埋め合わせるように、少しずつ距離を縮めていく。
感じたこと
旧い習慣の残る場所、変化を嫌う人々の前に、突然、異邦人が現れ、その影響によって、人々が少しずつ変わり始めるという、昔から西部劇なんかでよくあるストーリー。
明るく前向きな青春映画であれば、「フットルース」などが思い浮かぶし、異邦人が神経衰弱ならば、「セックスと嘘とビデオテープ」なんかも、同じ展開である。
これらに共通するのは、価値観の崩壊であろう。
違いは、主人公が、影響を与えるのか、受けるのか。
問題は、異邦人が、去るのか、留まるのか。
そして、それを、自らの意志で選択するのか、選択せざるを得ないのか。
この映画の場合は、結論から言えば、曖昧なのだ。
物語の最初と最後は、毎年恒例になっている家族3人での記念撮影。
それぞれの表情に劇的な変化はない。
娘の顔に残る傷が、ほんの少し、心に沁みるだけだ。
ただ、同じ笑顔であっても、もう同じには見えない。
ソフィーが現れたことによって、今まで気付かないふりをしていたそれぞれの価値観、心の距離を、確かめてしまったのだから。
これって、物凄く残酷なことだと思う。
それぞれの価値観は崩壊していないのに、家族は崩壊しかけている。
3人で何かを乗り越えたわけじゃない。
そこで、ソフィーの言葉を思い出す。「自分で選べないなら、生きていたくない。」
ちなみに、音楽の才能って、どんなものなんだろう。
私に聞こえている音と違うのだろうか。
音楽の才能がある者同士は、心が通じ合えるのだとすれば、キースとソフィーのあまりに短絡的な逃避行も、何となく理解できるかもしれない。
ちなみに、音楽の才能って、どんなものなんだろう。
私に聞こえている音と違うのだろうか。
音楽の才能がある者同士は、心が通じ合えるのだとすれば、キースとソフィーのあまりに短絡的な逃避行も、何となく理解できるかもしれない。
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