2018年11月23日金曜日

テイキング・チャンス

日本人は、何を忘れているのだろうか。




TAKING CHANCE



監督:ロス・カッツ
出演:ケヴィン・ベーコン


あらすじ



マイケル・シュトローブル中佐は、「砂漠の嵐作戦」に参加した経験もある海兵隊員だが、今は、内勤として、戦地の人員配置などを担当している

妻子と穏やかな生活を送っているが、ある日、戦没者リストの中から、偶然、同郷の若者チャンスの名前に目を止める

マイケルは中佐という幹部の立場でありながら、遺体搬送の護衛という任務に志願する。

亡くなった兵士への敬意と、もう自分は兵士ではないという負い目との間で、初めての任務、様々な人々との出会いを通じて、彼の心に変化は訪れるのか。
彼の短い旅が始まる。

中央:ケヴィン・ベーコン

感じたこと


1時間17分の間、文化的な衝撃を受け続ける日本人が見るべき、アメリカ海兵隊の物語。

それは、文化の違いではない。日本が失くしてしまった誇り、忘れてしまった価値観に突き刺さるからだ。

主人公のマイケルは、妻子との生活に慣れ、内勤を希望した負い目から、中佐でありながら、イラクで戦死した一等兵チャンスの遺体を、故郷まで護衛する任務を引き受ける

道中、知り合う、バンドマンで、女性にモテるために髪を切りたくないと語る運転手や携帯メールの早打ちが特技という今時の若い女性など、一見、戦争とは全く関係のない生活をしているアメリカ国民でさえも、祖国のために戦った兵士への敬意に溢れている

遺体の処理、遺品の取り扱い、遺体搬送の際の敬礼、民間人の護衛への配慮などに、アメリカ海兵隊の、そして、アメリカ国民の深い悲しみと誇りが感じられ、日本人である私に、重くのしかかってくる

しかしながら、手荷物検査場での検査員の横柄な態度、飛行機内で「任務中か?」と聞いた後に酒を飲んで眠る男など、軍隊が全ての国民に受け入れられているわけではないことも、同時に描かれている

決して、海兵隊の賛美ではなく、また逆に、戦争反対を声高に訴えるわけでもない。

戦地ではなく、軍隊の内側とそれを支える国民を、淡々と、そして丁寧に描いたこの作品は、日本人のアイデンティティから欠落しているものが何かを、気付かせてくれる。

戦争は誰もが反対だ。ただ、平和を訴えるだけでは、祖国を守ることはできない。

ちなみに、この作品、敬礼のたびに涙が溢れてしまうため、1時間17分、決して短くはないのだ。

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