2018年12月22日土曜日

悲しみが乾くまで

人は誰かに思い出を話すことで、悲しみから解放されるのだろうか。


THINGS WE LOST IN THE FIRE


監督:スサンネ・ビア
出演:ハル・ベリー
   ベニチオ・デル・トロ
   デヴィッド・ドゥカヴニー

あらすじ


子供たちのアイスクリームを買いに出かけたブライアンは、正義感が強いことが災いして、夫婦喧嘩の末の殺人事件に巻き込まれ、射殺されてしまう
愛する夫を突然亡くし、うろたえる妻・オードリーは、葬式の当日、夫の死を知らせなければならない人、ブライアンの幼い頃からの親友・ジェリーの存在を思い出す。
ジェリーは、元弁護士だが、今は、ヘロイン中毒となり、すさんだ生活を送っていた。
オードリーは、ジェリーを毛嫌いしていたが、ブライアンだけは、彼を見捨てずに、陰ながら支えてきたのだ。
夫の死をきっかけに、ジェリーと再会したオードリーは、彼がまともな暮らしができるよう、一緒に暮らすことを提案する

左:ベニチオ・デル・トロ 右:ハル・ベリー

感じたこと


この映画の各シーンは、時系列に並べられているわけではない。

登場人物たちの乱れた心理状態と重なって、不安定で、落ち着きがなく、整合が取れていない。

妻も子も友人も、それぞれが互いを利用して、ブライアンの突然の死を乗り越えようともがいている

誰もが必死に普通の生活をしている

オードリーは、ジェリーに言う。「あなたが代わりに死ねばよかったのに…」

恐ろしく、冷たい、残酷な本音

死の捉え方は、宗教観や死生観によって大きく異なるが、自分自身が死と向かい合った時、または、愛する人の死に直面した時、宗教が、心の大きな支えとなることは、疑うことのできない事実だろう。

一方、「死」と共に、大きなテーマとなっているのが「薬物依存」。

ジェリーについては、元弁護士であったこと以外、ヘロインを使い始めたきっかけなど、多くは語られない。

また、過去の出来事も断片的で、わずかな情報から想像するしかないのだが、多分、出来心で、大した理由などないのだろう

おそらく、理由なんてどうでもいいのだ。

薬は、容赦なく、体を蝕んでいく。

依存者の多くは、意志の弱さを指摘されるが、これはもう精神論ではないということが、ベニチオ・デル・トロの迫真の演技から伝わってくる。

薬物中毒による死といって思い出すのは、ニルヴァーナのカート・コバーン。

ニルヴァーナは、仏教用語で『涅槃』。

やっぱり、深すぎて、手に負えない話になってきますね。


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