2019年2月3日日曜日

ゲス・フー 招かれざる恋人

「差別をなくす」なんて、少し傲慢ではないだろうか。


Guess Who


監督:ケヴィン・ロドニー・サリヴァン
出演:バーニー・マック
   アシュトン・カッチャー
   ゾーイ・サルダナ

あらすじ


エリート証券マンのサイモンは、結婚を約束した女性が黒人であることを、上司から咎められ、感情的になって会社を辞めてしまう
そのことを恋人テレサに伝えられないまま、テレサの両親の銀婚式に出席するため、二人で彼女の故郷を訪れる
一方、テレサとその恋人サイモンを迎える父親のパーシーは、娘が白人の頼りない青年を連れてきたことに驚きを隠せない。
父親として、娘を愛するが故に、サイモンの態度が信用できず、何かと対立してしまう
果たして、パーシー一家は、無事、銀婚式を迎えることができるのだろうか。

左:アシュトン・カッチャー 右:ゾーイ・サルダナ

感じたこと


この映画は、1967年に公開されたシドニー・ポワチエ主演の名作「招かれざる客」を基に作られている

原作同様、「人種差別」をテーマとしているが、次から次へと現れる障害を、愛の力で乗り越えようとする主人公たちの姿を、コミカルに描いている。

本作では、立場が逆転して、招く側が黒人家庭で、招かれざる客が白人青年となっている。

日本は、単一民族のため、人種差別は少ないと言われるが、少し海外に目を向ければ、反日教育だって、十分に人種差別だし、海外旅行での日本人への、またはアジア人への冷ややかな視線は、どうしたって気になってしまう

差別しているとされる側も、差別されているとされる側も、多かれ少なかれ、互いに互いを差別している。

人は、存在するあらゆるものを分類する。

危険なのか。危険でないのか。
食べられるのか。食べられないのか。
役立つのか。役立たないのか。
損なのか。得なのか。

でも、それは、生きていくために必要であり、当然の行為だ。

ただ、人は、少なくともこの地球上においては、特別で、とても尊いものだと、私は思う

人種や男女などではなく、人は人として、それぞれが評価されるべきものなのだ。

この映画は、人種を越えた男女の愛情だけでなく、人種を越えた男同士の友情も、同時に描かれていて、裕福な黒人家庭に気弱な白人青年という設定も相まって、「人種差別」という難題への、解決の糸口が垣間見える気がする

ちなみに、主人公サイモンが語るテレサへの愛は、プラトンの「饗宴」におけるエロス論。

人は、『完全な姿』を求めて恋をするのだろうが、完全な人は、傲慢なために、引き裂かれてしまったのだ。


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2019年1月27日日曜日

ニューイヤーズ・イブ

失敗しないとしたら、今日、何をしたい?


New Year's Eve


監督:ゲイリー・マーシャル
出演:アシュトン・カッチャー
   ロバート・デ・ニーロ
   キャサリン・ハイグル
   リア・ミシェル
   ヒラリー・スワンク
   ミシェル・ファイファー
   ザック・エフロン
   ジェシカ・ビール
   ハル・ベリー
   サラ・ジェシカ・パーカー
   ジョン・ボン・ジョヴィ
   ジョシュ・デュアメル

あらすじ


大晦日のニューヨークを舞台に、心に少しだけ傷を負った人々が、今よりもほんの少しだけ幸せになるために、悪戦苦闘する姿をコミカルに描いた群像劇
タイムズスクエアのカウントダウンイベントの舞台裏で、恒例の「ボール・ドロップ」を成功させるために奮闘するクレアの父スタンは、末期癌で入院している。見舞いも来ないスタンに同情した看護師のエイミーは、大晦日を一緒に過ごすことにする。
一方、レコード会社に勤務するイングリットは、何をやっても上手くいかない、ちょっと『イタイ』中年女性だ。
年頭に立てた誓いを、今年中に全て達成するため、自転車便のポールに夢を託す
また、ポールの親友ランディは、大晦日の盛り上がりが大嫌いな皮肉れ者だが、エレベーターの故障で、偶然、乗り合わせたコーラス歌手のエリースに恋をしてしまう…
それぞれが、それぞれの問題を抱えながら、特別な一日『ニューイヤーズ・イブ』を過ごす。
果たして彼らは、どんな新年を迎えることになるのだろうか。

タイムズスクエア

感じたこと


今回のタイトルは、登場人物の一人であるレコード会社社長のサムが、パーティのスピーチで、偉大な父の好きな引用として紹介したものである

要するに、「失敗を恐れずに、今すぐチャレンジしなさい。」ということだろうが、なかなか、そう上手くはいかない。

この映画の主人公たちも同じだ。

家庭を犠牲にしてきたことを後悔しているが、それを娘に伝えていない末期癌患者

年頭に立てた誓いを、1つも果たすことなく、大晦日を迎えた中年女性。

一年前に出会った本当に気の合う素朴な女性と再会を約束しているが、『本当に来てしまったら』を心配する青年実業家。

結婚から逃げ出してしまった大物ミュージシャンと、戻ってきた彼を受け入れられない女性シェフなど。

みんな、自分の気持ちを受け入れてもらえないかもしれないという不安に苛まれている。

そんな彼らの背中を押してくれるのが、『ニューイヤーズ・イブ』


365日、本当は、特別な日なんてないのかもしれない。

でも、私たちは、ある一日に、ある特別な意味を見出すことで、この人生と向き合っている。

スタンの命は尽きるが、賞金を懸けて出産競争をしていた2組の夫婦には、無事、子供が生まれるのだ。


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2019年1月25日金曜日

狼の死刑宣告

なぜ、復讐してはいけないのか。


Death Sentence


監督:ジェームズ・ワン
出演:ケヴィン・ベーコン
   ケリー・プレストン
   ジョン・グッドマン

あらすじ


リスク管理会社の重役ニックは、美しい妻と2人の息子、裕福で幸せな家庭を築いていた
ところが、ある日、息子のアイスホッケーの試合の帰りに立ち寄ったガソリンスタンドで強盗に遭遇し、目の前で長男が殺害されてしまう
長男を殺害した犯人はすぐに逮捕されるが、息子の死に値する刑が下されることはないと知り、ニックは、裁判で目撃証言を撤回する。
その後、釈放された犯人を尾行し、強盗のアジトを突き止めたニックは、自宅の物置で凶器を手にする
突然の出来事に心を乱す妻や次男に平静を装いつつ、たった一人、強盗グループとの『戦争』が開始される。


右:ケヴィン・ベーコン
感じたこと

キリスト教では、復讐は許されない。
イスラム教においても、報復せず許すならば、それは、自分の罪の償いとなる。

それでは、なぜ、復讐をテーマとした作品が作られ続けるのだろうか
また、復讐劇を見たくなるのは、なぜだろうか

単純に考えれば、答えは、禁止されているから。
もしくは、復讐することが困難であるからだろう。

この映画の主人公ニックのように、息子を殺されるなどの信じがたい不幸や不運に見舞われた時、私なら、どうなるだろうか

きっと、その不条理を受け入れることもできず、また、復讐を果たすこともできずに、ただ、犯人や世の中への報復の機会をうかがいながら、年老いていくのが関の山だ。

ニックは、息子の死に値するのは、少なくとも極刑と犯人の反省と考える
しかし、それが不可能と分かった時、ごく普通の男が、自分自身の手で報復することを決意する

「なぜ、復讐してはいけないのか」は、言い換えれば、「なぜ、悪が存在するのか。」であると思う。

ニックは、悪の存在に、目的を見出すことはできなかった。
何の理由も見つからず、ただ、人生は公平ではないと悟るしかなかった。

全てが単純に、勧善懲悪であれば良いのだが、現実は、そう上手くいかない。

この世の中に、幸運を約束された人はいないのだ。


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2019年1月15日火曜日

シェフ 三ツ星フードトラック始めました

私たちは、成功を求めているのだろうか、それとも、自由を求めているのだろうか。


Chef


監督:ジョン・ファヴロー
出演:ジョン・ファヴロー
   ソフィア・ベルガラ
   ジョン・レグイザモ
   スカーレット・ヨハンソン
   オリヴァー・プラット
   エムジェイ・アンソニー
   ダスティン・ホフマン
   ロバート・ダウニー・Jr

あらすじ


フレンチレストランで働くカール・キャスパーは、元妻に引き取られた息子を気遣いながらも、シェフとして、多忙な毎日を送っていた
ある日、人気ブロガーの辛口料理評論家ラムジーが来店するとあって、気合が入っていたのだが、オーナーからは定番のメニューを出すよう指示され、ラムジーには、創造性のない料理を酷評されてしまう
感情的になった彼は、店を辞め、ラムジーにも暴言を吐きまくる。
その様子をネットで拡散されたことから、新たな就職先も見つからず、途方にくれていたのだが、元妻イネズの計らいで、息子と3人、マイアミを訪れる
そこで、久々に食べたキューバサンドイッチの味に感動したカールは、フードトラックでの移動販売に挑戦することを決意する。

左:ジョン・ファヴロー 右:ソフィア・ベルガラ

感じたこと


主人公のカールは、自分がやりたいこと、作りたい料理によって、人をほんの少しでも笑顔にしたいと願っているが、と同時に、料理人としての成功を強く欲している。

そのため、カールに全面的に共感することはできない。
(もちろん、美人の恋人と元妻への嫉妬も大いにあるだろうが…)

欲望は、人によって違うが、人は自身の欲望を隠し切ることはできないし、誰かが、必ず、その欲望を見透かしている

いい人とは、私にとって、いい人なのであり、私の欲望に沿う人なのだ

この映画において、最も魅力的に感じる登場人物は、カールの部下であり、パートナーであり、友人でもあるマーティンで、間違いないだろう。

マーティンは、元ボスであるカールの人柄に惹かれ、職場での昇進を捨ててまで、無給で、フードトラックに協力する

ただ、その立ち位置は、あくまで『自由』。

好き勝手に生きるのが『自由』ではなく、自分の決定と責任で生きることこそが『自由』。

マーティンは、人生を楽しむことを、自ら選んでいる

もしも、私が選択を迫られたなら、一流のフレンチレストランではなく、潔くフードトラックを選びたい。

今更ながら、そんな男になりたいと思う。


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あしたは最高のはじまり

この先に「最高」はあるのだろうか。 Demain Tout Commence ...