「差別をなくす」なんて、少し傲慢ではないだろうか。
Guess Who
監督:ケヴィン・ロドニー・サリヴァン
出演:バーニー・マック
アシュトン・カッチャー
ゾーイ・サルダナ
あらすじ
エリート証券マンのサイモンは、結婚を約束した女性が黒人であることを、上司から咎められ、感情的になって会社を辞めてしまう。
そのことを恋人テレサに伝えられないまま、テレサの両親の銀婚式に出席するため、二人で彼女の故郷を訪れる。
一方、テレサとその恋人サイモンを迎える父親のパーシーは、娘が白人の頼りない青年を連れてきたことに驚きを隠せない。
父親として、娘を愛するが故に、サイモンの態度が信用できず、何かと対立してしまう。
果たして、パーシー一家は、無事、銀婚式を迎えることができるのだろうか。
感じたこと
この映画は、1967年に公開されたシドニー・ポワチエ主演の名作「招かれざる客」を基に作られている。
原作同様、「人種差別」をテーマとしているが、次から次へと現れる障害を、愛の力で乗り越えようとする主人公たちの姿を、コミカルに描いている。
本作では、立場が逆転して、招く側が黒人家庭で、招かれざる客が白人青年となっている。
日本は、単一民族のため、人種差別は少ないと言われるが、少し海外に目を向ければ、反日教育だって、十分に人種差別だし、海外旅行での日本人への、またはアジア人への冷ややかな視線は、どうしたって気になってしまう。
差別しているとされる側も、差別されているとされる側も、多かれ少なかれ、互いに互いを差別している。
人は、存在するあらゆるものを分類する。
危険なのか。危険でないのか。
食べられるのか。食べられないのか。
役立つのか。役立たないのか。
損なのか。得なのか。
でも、それは、生きていくために必要であり、当然の行為だ。
ただ、人は、少なくともこの地球上においては、特別で、とても尊いものだと、私は思う。
人種や男女などではなく、人は人として、それぞれが評価されるべきものなのだ。
この映画は、人種を越えた男女の愛情だけでなく、人種を越えた男同士の友情も、同時に描かれていて、裕福な黒人家庭に気弱な白人青年という設定も相まって、「人種差別」という難題への、解決の糸口が垣間見える気がする。
ちなみに、主人公サイモンが語るテレサへの愛は、プラトンの「饗宴」におけるエロス論。
人は、『完全な姿』を求めて恋をするのだろうが、完全な人は、傲慢なために、引き裂かれてしまったのだ。


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