2019年9月7日土曜日

幸せなひとりぼっち

ひとりぼっちでは幸せになれないのだろうか。

En man som heter Ove


監督:ハンネス・ホルム
出演:ロルフ・ラッスゴード
   イーダ・エングヴォル
   バハール・パルス

あらすじ


スウェーデンの郊外で暮らす孤独な老人(実は58歳)オーヴェは、ある日、長年勤めた鉄道会社をクビになってしまう。
生きる希望を失い、自殺を試みるのだが、隣に越してきた陽気なイラン人女性のパルヴァネに邪魔をされて、失敗する
その後も、何かと係わってくる迷惑な隣人たちと接するうちに、オーヴェの心は、少しずつ変化していく

中央:ロルフ・ラッスゴード

感じたこと


北欧と言えば、子供の頃、社会科の授業で教えられた『ゆりかごから墓場まで』という手厚い福祉政策を思い出す

今なら、デザイン性の高い家具や雑貨、食器などの方が、イメージされるかもしれない。

この映画は、まさに、ゆりかごから墓場まで、人の一生を、時にシリアスに、また時にコミカルに描いている。

ただ、そこで感じるのは、夢のような社会なんて存在しないということ。どこの国の役人も、一庶民の暮らしなんて気にかけないし、気楽に生きていけるほど、この世の中は甘くない。


ひとりぼっちで、幸せな死を迎えるのは、そう簡単なことではないのだ

主人公のオーヴェは、妻に先立たれ、何度も自殺を試みては、失敗を繰り返す。 

そのたびに、過去の出来事が回想され、彼の人となり、彼の人生が、浮き彫りになっていく。

幼い頃の母の死と父との暮らし。

立派に成長するも、突然訪れる父の事故死、そして、最愛の妻ソーニャとの出会い

その後、二人に訪れた大きな試練。

人生に絶望した偏屈なただの男にも、長い人生がある


考えてみると、オーヴェが交流する隣人たちも只者ではない。

パルヴァネは、移民の妊婦だし、妻の元教え子はゲイ、車の趣味が合わずに仲違いした友人のルネは、今は障碍者だ。

しかし、オーヴェは、彼らに対し、同じ基準で接する。

偏屈だが、差別や偏見はない。

歳をとって頑固になってしまったが、ソーニャが惹かれたのは、きっと、そんなオーヴェなのだろう。

最後に、事故で子を失い、車いす生活になったソーニャがオーヴェに送った言葉。

「今を必死に生きるのよ。」

隣人たちとの交流を重ねる中で、オーヴェは、この言葉を思い出したに違いない



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