人生において無条件で輝けるのは、一瞬なのだろう。
Lady Bird
監督:グレタ・ガーウィグ
出演:シアーシャ・ローナン
ローリー・メトカーフ
ルーカス・ヘッジス
ビーニー・フェルドスタイン
あらすじ
2002年。キリスト教で儀式を意味する『サクラメント』を都市名とするカリフォルニア州中部の田舎町。
『レディ・バード』と自称する17歳の女子高生クリスティンは、東部の大学に進学することを夢見ていた。
口うるさい母親からは反対され、進路相談でも難しいと諭されるが、諦めることができない。
感じたこと
この映画は、母親との確執、父親の失業、大学進学や恋の悩みなど、誰もが経験する高校最後の多感な日々を、どこにでもいる普通の少女クリスティンを通じて、コミカルに、また丁寧に描いた作品である。
ただ、”コミカル”と言っても、あくまで17歳の悩める少女の1年を、自然に、また普通に描写しているのであって、40代の成人男性から見て、”コミカル”なだけだ。
本人は、いたって真剣だ。
しかし、18歳になって、あえてコンビニでタバコと成人誌を買ってしまう、少しだけトガッた田舎者の少女を、微笑ましいと思わない大人はいないだろう。
貧乏で、そのことを少し恥じているから、すぐに判る嘘をついていたこと。近所に憧れの家があったこと。日曜日に教会に行くのが嫌で、土曜学校に通う子供達をバカにしていたこと。
男女の違い、環境の違いはあるけれど、間違いなく私も『レディ・バード』だった。
物語とはあまり関係ないのだが、印象に残ったのは、演劇部の演出を担当する牧師が深刻な病気になり、看護師であるクリスティンの母親と交わすやり取り。
「こういう時に、頼れる人はいるの?」
聖職者であるが故の孤独。
神ではなく、支える人が必要だという現実が見えて、興味深い。聖職者であっても、死を超克しているわけではないのだ。
ちなみに、クリスティン達がバカにする老シスターが、とても魅力的。
「同じことだと思わない?愛情も、注意を払うことも。」
また、クリスティンが仕掛けたいたずらに対しても、
「罰しないわ、笑えたから。」
全ては、受け入れ方次第なんだと、日々の行いを反省するしかない。
監督・脚本は、「マギーズ・プラン」や「ベン・ステイラー 人生は最悪だ」に出演していたグレタ・ガーウィグ。
自分の娘には、おすすめしないが、貴重な17歳を何となく過ごしてしまった全ての大人が共感できる、とても素敵な映画だ。

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