2019年4月5日金曜日

レディ・バード

人生において無条件で輝けるのは、一瞬なのだろう。

Lady Bird


監督:グレタ・ガーウィグ
出演:シアーシャ・ローナン
   ローリー・メトカーフ
   ルーカス・ヘッジス
   ビーニー・フェルドスタイン

あらすじ


2002年。キリスト教で儀式を意味する『サクラメント』を都市名とするカリフォルニア州中部の田舎町。
『レディ・バード』と自称する17歳の女子高生クリスティンは、東部の大学に進学することを夢見ていた
口うるさい母親からは反対され、進路相談でも難しいと諭されるが、諦めることができない。
ある日、シスターに勧められた演劇部でダニーと知り合い、二人は恋に落ちる。感謝祭を一緒に過ごすのだが、彼には、クリスティンに言えない秘密があった…
そんな平凡(?)な高校生活が過ぎていく中、卒業後は、どうしてもサクラメントから離れたいクリスティンは、失業中の父親を説得して、母親には内緒で、東部の大学へ申込書を提出するのだが…

中央左:ビーニー・フェルドスタイン 中央右:シアーシャ・ローナン


感じたこと


この映画は、母親との確執、父親の失業、大学進学や恋の悩みなど、誰もが経験する高校最後の多感な日々を、どこにでもいる普通の少女クリスティンを通じて、コミカルに、また丁寧に描いた作品である

ただ、”コミカル”と言っても、あくまで17歳の悩める少女の1年を、自然に、また普通に描写しているのであって、40代の成人男性から見て、”コミカル”なだけだ。

本人は、いたって真剣だ。

しかし、18歳になって、あえてコンビニでタバコと成人誌を買ってしまう、少しだけトガッた田舎者の少女を、微笑ましいと思わない大人はいないだろう。

貧乏で、そのことを少し恥じているから、すぐに判る嘘をついていたこと。近所に憧れの家があったこと。日曜日に教会に行くのが嫌で、土曜学校に通う子供達をバカにしていたこと。 

男女の違い、環境の違いはあるけれど、間違いなく私も『レディ・バード』だった

物語とはあまり関係ないのだが、印象に残ったのは、演劇部の演出を担当する牧師が深刻な病気になり、看護師であるクリスティンの母親と交わすやり取り

「こういう時に、頼れる人はいるの?」

聖職者であるが故の孤独。

神ではなく、支える人が必要だという現実が見えて、興味深い聖職者であっても、死を超克しているわけではないのだ

ちなみに、クリスティン達がバカにする老シスターが、とても魅力的。
「同じことだと思わない?愛情も、注意を払うことも。」

また、クリスティンが仕掛けたいたずらに対しても、
「罰しないわ、笑えたから。」

全ては、受け入れ方次第なんだと、日々の行いを反省するしかない。

監督・脚本は、「マギーズ・プラン」や「ベン・ステイラー 人生は最悪だ」に出演していたグレタ・ガーウィグ。

自分の娘には、おすすめしないが、貴重な17歳を何となく過ごしてしまった全ての大人が共感できる、とても素敵な映画だ。


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