2019年3月23日土曜日

ブルージャスミン

人は、見たいものだけを見て、聞きたくないことは聞こえないのだろう。

Blue Jasmine


監督:ウディ・アレン
出演:ケイト・ブランシェット
   アレック・ボールドウィン
   サリー・ホーキンス
   ボビー・カナヴェイル

あらすじ


ジャスミンは、投資会社を経営する夫のハルと、ニューヨークの上流社会で、セレブ生活を謳歌していた。
しかしながら、夫の逮捕と共に全財産を失い、サンフランシスコで暮らす妹のジンジャーのアパートに、身を寄せることになる。
上流社会から転落した無知なジャスミンは、庶民の生活に戻ることもできずに、精神的に追い込まれていく
そんなある日、パーティで外交官のドワイトと出会い、互いに好意を持つ。上流社会に戻るため、ジャスミンは、過去を隠し、嘘をついてまで交際を始めるのだが

左:ケイト・ブランシェット 右:アレック・ボールドウィン


感じたこと

この映画は、現代のニューヨークとサンフランシスコを舞台にしているが、音楽、ファッションだけでなく、女性に対する価値感やイメージさえも、ノスタルジックに描いている

つまり、主人公のジャスミンとその妹のジンジャーは、男性に依存しなければ生きていけない、過去の女性なのだ。


登場する主な人物は、ほぼ全員、強い被害者意識を持っている。

例えば、ジンジャーの元夫オーギーは、宝くじで当たった大金を、ハルに騙し取られたと思っている。

人生で、唯一、巡ってきたチャンスを逃した恨みは消えない

しかし、苦労して貯めた金ではないし、残念ながら、儲け話に乗った方が悪いと言えなくもない

要するに、誰にでも、多少は経験のある話で、その悲哀は共感できるが、改めて、同情するほどの話でもない

それは、ヒロインであるジャスミンも同じだ。

華やかな上流社会での暮らしを続けるために、夫の不正にも、浮気にも、気付かないふりをしていた

つまり彼女は、被害者であると同時に、加害者でもあるわけだ。

ただ、ジャスミンの心が、少しずつ壊れていくのが、切ないのはなぜだろう。

過去と現実の区別がなくなり、独り言を繰り返す彼女を、自業自得と割り切れないのは、なぜだろう。

もしかするとジャスミンは、夫のハルを、本当に愛していたのではないだろうか。

なぜなら、サンフランシスコでのどん底の暮らしの中でさえ、ハルを悪く言うことが、一度もないのだから。


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