2018年11月10日土曜日

トリプル9 裏切りのコード

誰かが決めた私たちのルールは、本当に正しいのだろうか。


Triple 9


監督:ジョン・ヒルコート
出演:ケイシー・アフレック
   キウェテル・イジョフォー
   アンソニー・マッキー
   アーロン・ポール
   ウディ・ハレルソン
   ケイト・ウィンスレット

あらすじ


元軍人と現職警官で構成された強盗グループのリーダー、マイケルは、元妻と息子を半ば人質に取られたロシアンマフィアから、国土安全保障省への無謀な襲撃計画を強要される。
計画を成功させるための唯一の手段は、「トリプル9」。
警察官が殺害された場合に、まるで復讐するかのように、総動員で現場に急行する警察の隙を衝くというものだ。
ある日、現職の警察官でありながら強盗を繰り返すマーカスの元へ、クリスが配属される。
実直な理想主義者であるクリスとマーカスは、反りが合わず、何かと衝突するのだが、クリスがマーカスの命を救ったことから、次第に信頼が生まれつつあった…

左:ケイシー・アフレック 右:アンソニー・マッキー
 

感じたこと


主人公のクリスは、実直な理想主義者で、周囲に溶け込めず、すぐに波風を立ててしまう厄介なよそ者だ。

マーカスの正体や自身が「殺され役」にされていることにも気付かない愚鈍な一面もあり、決して正義のヒーローではない。

また、クリスの叔父、重大犯罪課のアレンは、ベテランの凄腕刑事だが、妻子に逃げられたらしく、家も服も薄汚く、押収した薬物を、その場で使用してしまうような警察官である。

しかしながら、「トリプル9」で、クリスが撃たれたと勘違いし、警察官とは思えないほど取り乱して現場に向かう人間臭さがあり、本作中、最も魅力的なキャラクターでもある。

一方、もう一人の主人公、強盗グループのリーダー、マイケルは、計画の成功のためには、民間人に発砲することも厭わない冷酷な男だが、実は、愛する息子のために、悪事を重ねている。

また、強盗グループのラッセルとゲイブの二人は、本来は、お互いを想い合う、良き兄弟だ。

ラッセルは、逃走中の銃撃戦で、流れ弾に当たり、苦しむ黒人女性に、懺悔の表情を浮かべ、弟のゲイブは、警察官の殺害に反対し、結果的にクリスの命を救うことになる。

警察官の命が、最も尊いのではない。
全ての警察官が正義なのではなく、全ての犯罪者が不義なのでもない。

誰もが、正義と不義の間を揺れ動いている。

感情に支配された正義は、もはや正義ではないが、感情に左右されない人間に、もはや「生」を感じることはないだろう。


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