悲劇と喜劇の境目って何処だろう。
Demolition
監督:ジャン=マルク・ヴァレ
出演:ジェイク・ギレンホール
ナオミ・ワッツ
クリス・クーパー
ジュダ・ルイス
あらすじ
多忙な毎日を送るエリート会社員のデイヴィスは、ある朝、通勤途中に交通事故に遭い、運転していた妻のジュリアが死んでしまう。
搬送された病院で、空腹のために、自動販売機でチョコレートを買おうとするのだが、機械の不具合で、商品が出てこない。
腹が立ったジェイクは、ジュリアが死んだその日、家に帰ってすぐに、メンテナンス会社に長文の苦情の手紙を書くのだった。
手紙を読んだメンテナンス会社に勤務するシングルマザーのカレンは、その内容に強い興味を持ち、深夜にジェイクの自宅に電話をしてしまう…
感じたこと
主人公のデイヴィスは、義父の経営する会社に勤務し、美しい妻と成功を手にしている。
しかし、ある日突然、通勤途中に、妻を交通事故で亡くしてしまう。
自分で運転していたわけでもなく、自身はかすり傷一つない。
そのためか全く責任を感じることもなく、また、妻を失ったことを、「悲しみ」として受け入れることができない。
突然に訪れた不幸。
でも、その後のデイヴィスの行動は、とてもコミカルだ。
自動販売機のメンテナンス会社にクレームを入れたり、街中でひとり踊ってみたり、家にある冷蔵庫を分解し、最後はブルドーザーで家ごと破壊してしまったり…
邦題は、車のサンバイザーに貼られた付箋紙に書かれた妻の言葉。少しずつ心が離れてしまったことに気付き、涙を流すデイヴィス。
タイトルとしては、賛否両論あるだろうが、印象的なシーン、言葉だと思う。「私に気付いて。」「私を思い出して。」という意味だろうか。
妻を愛していなかったわけではないだろう。
ただ、毎日の生活の中で、妻を愛していることを忘れてしまっただけだ。
思い出すために、何かを破壊する必要もあるのだろう。
それが他人から見てコミカルなのだ。
妻を愛していた頃の感情を取り戻し、再生したデイヴィスが、子供たちと笑顔で海辺を走るラストシーンが、とても素敵だ。
にほんブログ村